C言語でEV3開発(11)
opOUTPUT_STEP_POWERコマンド

2021年1月30日

どもです。
今回のエントリーでは、再びモーターを動かすためのコマンドについて書きます。
コマンドは、「opOUTPUT_STEP_POWER」です。

1.opOUTPUT_STEP_POWERコマンド

今回紹介するコマンドです。
コマンドのフォーマットは、以下の通りです。
今回紹介するコマンドは、これまで紹介してきたコマンドに対して、少し引数の数が多いです。
というのは、コマンド名が表す通り、「段階」ごとにモーターを動かすコマンドです。

opOUTPUT_STEP_POWERコマンドフォーマット
バイト
インデックス
内容
1 コマンドコード opOUTPUT_STEP_POWER(0xAC)
2 チャネル
3 パワー
(power)
-100~100(%)
4 Step1:
Powerに達するまでの
回転角度
0~4294967295(°)
5 Step2:
Powerで回転させる角度
0~4294967295(°)
6 Step3:
Powerが0になるまでに
回転させる角度
0~4294967295(°)
7 ブレーキ 0 = ブレーキをかけない
1=ブレーキをかける

上記の表に示したとおり、Step1~Step3に設定したそれぞれの「角度」だけモーターが回転します。
すなわち、コマンドの動作が完了した際には、Step1~Step3に設定した値の分だけモーターが回転しています。
なお、単位は「°」になります。
「rad(ラジアン)」ではないので、注意が必要です。

2.サンプルコード

というわけで、opOUTPUT_STEP_POWERコマンドを使用してモーターを動かします。
サンプルプログラムは、以下の通りです。

#include <stdio.h>
#include <fcntl.h>
#include <stdlib.h>
#include <unistd.h>
#include <string.h>
#include <signal.h>
#include "lms2012.h"

#define CH_A    (0x01)
#define CH_B    (0x02)
#define CH_C    (0x04)
#define CH_D    (0x08)

//   モーターのポート名
#define PWM_MOTOR_PORT_NAME ("/dev/lms_pwm")

typedef unsigned int UINT;
typedef signed int SINT;
//typedef unsigned char UBYTE;
//typedef signed int SBYTE;
typedef void VOID;

//  モーターのファイルディスクリプター
SINT motor_fp;

/*****************************************************************************/
/*                                                                           */
/*  モーターを動作させるための各種関数                                       */
/*                                                                           */
/*****************************************************************************/
/*
    * プログラムの開始
    */
int ProgramStart(void) {
    UBYTE Buf[4];
    int ret;

    Buf[0] = opPROGRAM_START;
    ret = write(motor_fp, &Buf[0], 1);

    return ret;
}

/*
    * プログラムの停止
    */
int ProgramStop(void) {
    UBYTE Buf[4];
    int ret;

    Buf[0] = opPROGRAM_STOP;
    ret = write(motor_fp, &Buf[0], 1);

    return ret;
}

/*
    * モーターの動作開始
    */
int MotorStart(UBYTE ch) {
    UBYTE Buf[4];
    int ret;

    Buf[0] = opOUTPUT_START;
    Buf[1] = ch;
    ret = write(motor_fp, &Buf[0], 2);

    return ret;
}

/*
    * モーターの動作停止
    */
int MotorStop(UBYTE ch) {
    UBYTE Buf[4];
    int ret;

    Buf[0] = opOUTPUT_STOP;
    Buf[1] = ch;
    ret = write(motor_fp, &Buf[0], 2);

    return ret;
}

/*
    * モーターのリセット
    */
int MotorReset(UBYTE ch) {
    UBYTE Buf[4];
    int ret;

    Buf[0] = opOUTPUT_RESET;
    Buf[1] = ch;
    ret = write(motor_fp, Buf, 2);

    return ret;
}

/*===========================================================================*/
/*                                                                           */
/*  今回対象のopOUTPUT_STEP_POWERコマンドを実行する                          */
/*                                                                           */
/*===========================================================================*/
int StepPower(
        UBYTE ch,
        SBYTE power,
        UBYTE step1,
        UBYTE step2,
        UBYTE step3,
        UBYTE brake) {
    int ret;
    size_t size;
    STEPPOWER stepPower = { 0 };

    stepPower.Cmd = opOUTPUT_STEP_POWER;
    stepPower.Nos = (DATA8) ch;
    stepPower.Power = (DATA8) power;
    stepPower.Step1 = step1;
    stepPower.Step2 = step2;
    stepPower.Step3 = step3;
    stepPower.Brake = brake;
    size = sizeof(stepPower);
    ret = write(motor_fp, (void *) &stepPower, size);

    return ret;
}

/*****************************************************************************/
/*                                                                           */
/*  メイン関数                                                               */
/*                                                                           */
/*****************************************************************************/
int main() {
    UBYTE power = 100;
    UBYTE step1 = 255;
    UBYTE step2 = 255;
    UBYTE step3 = 255;
    UBYTE brake = 1;

    motor_fp = open(PWM_MOTOR_PORT_NAME, O_RDWR);
    if (motor_fp < 0) {
        printf("Can not open MOTOR PORT\r\n");

        return (-1);
    }

    ProgramStart();
    ProgramStop();
    ProgramStart();

    MotorReset(CH_D);
    MotorStart(CH_D);

    StepPower(CH_D, power, step1, step2, step3, brake);
    sleep(3);

    MotorStop(CH_D);

    ProgramStop();

    close(motor_fp);
    exit(0);
}

3.動かしてみた

というわけで、実際に動かしてみた場合の動画です。

見てわかるように、モーターは最初ゆっくり動き始め、その後だんだんゆっくりになり、最終的に停止します。

4.コマンドの注意点

このコマンドを使用する際には、注意点があります。

4.1.回転方向

まず、回転方向の制御です。
これは、Powerで決定します。
回転する角度に負の値を設定した場合、その値はCPU上で正の値と判定されます。
たとえば、「-100」を指定した場合には、「100」として認識されてしまいます。
また、Powerに0を設定した場合です。
これは、理想的にはモーターが動作しないことです。
しかし、実際に動かしてみると、モーターは動作してしまいます。
原因は、不明です。(たぶん、ドライバ周りが問題なんでしょう…)

4.2.StepN(N=1~3)

次に、StepNに設定する値です。
ます、Step1には、必ず値を設定しなければなりません。
Step1に値を設定しなかった場合、モーターはきちんと動作しないようです。(というか、しませんでした。)
Step2、およびStep3ですが、Step1が設定してあれば、特に設定する必要はないようです。(実際に、値を設定しなくても、モーターは動作しました。)

まとめ

以上、今回は、opOUTPUT_STEP_POWERコマンドについて書きました。
次回も、引き続きモーターを動作させるためのコマンドを紹介していきます。
では。

…今回の動画は、さすがに短すぎる…。シュール!?